組織を生き抜くための知恵

自分にできなかったことを部下が達成してしまった、部下が手柄をたてると不機嫌になる上司たち。

 

自分の採用した部下から連絡があり相談に乗った。

まあいろいろなことがあるんだが、そのうちの一つとして、上司ができなかったことを自分がやってしまい、それによる嫉妬で業務の承認をしてくれないのではないかという相談だった。こればっかりは本人でないと真実はわからないのだが、そう思うのならなぜ自分の手柄を上司にゆずってしまわないのかという話をした。その業務自体が社会貢献になり自分の信念とも合致するのであれば、その業務は何があっても遂行するべきだし、そのために上司に手柄を渡してもいいじゃないか。けちなプライドのために大儀を見失うのはとてももったいないのではないかとアドバイスをした。

なるほどそうですねと腑に落ちたような感じだったのだが、それが腑に落ちるということは普段なかなか上司をたてられてないんだろうなと思った。その日々の積み重ねがそういう嫌がらせのようなものにつながるのだろう。

気持ちはわからないでもない。なぜ、上司の機嫌をとらないと達成できない業務があるのか、社会が間違っている、意味のないことにエネルギーを費やし、自尊心を棄損され納得がいかない。

しかしながら私が世界的大企業の外資系の会社で見てきた中でもそういう意味のないことを意味のないこととしてとらえ、正しくまっすぐに業務を遂行しようという上司は少ない。あまりにも少ない。ただ、あくまで少ないのであり、きちんとした人もいるのだが。上司ガチャだね。

上司ガチャはある。

まぎれもない厳然たる事実であり、仕方のないことだと私は思っている。世界に絶望もしている。だからこそそういう環境に左右されない環境への対応が組織の中にいるものとして重要だと思う。

せめて自分だけでもきれいごとの中で生きていきたい。いいじゃないか、大儀を達成するために自分を殺せるならば。信念さえ狂わなければきっと誰かが評価をしてくれると今でも私は信じているし、それを信じている自分が好きだからそれでよいと思っている。

不幸にもその大きな器を持つことができなかった諸先輩方が自分がそれに陥っていないか、役ボケせず、常に自問自答していただけるならばなおよいのだが、人は変わらないからね。自分自身も組織の下部に対してそうなっていないか自問自答を続けている。忌憚のない意見をもらうように努めている(それでも本音はなかなか語ってくれないけれども)。

変わらない人の中で自分が社会に出せるパフォーマンスを最大化することが私は大事だと思っている。

負けるなよ。世の中は壁だらけだ。そんな世の中だからこそおもしろいと思える余裕を部下の人たちには持ってもらいたいとも思うが、狂った上司を甘えさせている自分もまた罪なのかもしれない。自戒の意味も込めて。